【果樹オーナーの宿 碧】お遍路さんを勇気づけてくれる果樹園の宿

20番札所鶴林寺と21番札所太龍寺の間を流れる那珂川沿い、加茂谷地域にある宿「果樹オーナーの宿 碧」。オーナー制度の果樹園でありながら、人気の遍路宿にもなった経緯をお聞きしました。

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果樹オーナー向けの宿が出発点

「果樹オーナーの宿 碧(あおい)」の原幸喜さんが、家業である果樹園を引き継ぐために東京から徳島へ戻り、果樹のオーナー制度を始めた2005年、果樹オーナーが果樹園を訪れたときの宿泊施設として建てられたのがこの宿です。原さんのこだわりで、都会から来る果樹オーナーの癒しの空間になるように、囲炉裏と漆喰壁のある古民家風のデザインになっています。

開業してしばらくは果樹オーナー向けの宿でしたが、20札所鶴林寺21番札所太龍寺に近い立地で、宿の少ないエリアであったことから、地域の遍路ボランティアさんのすすめで、2010年頃からお遍路さんの宿泊受け入れを開始されたそうです。
夜は、囲炉裏を囲んでみんなでお鍋。季節には盛りだくさんのみかんのお接待。特徴ある宿にパートナーの恵美さんの温かい接客が手伝って、口コミで満室になる人気の宿になりました。

※現在は感染症予防の観点から「素泊まり」のみの対応です(2022年6月)。

碧オーナー夫妻

「果樹オーナーの宿 碧」を営む原夫妻。果樹園は幸喜さん、宿は恵美さんが切り盛りしています。

 

「お遍路さんをここで挫けさせない」

こちらの宿があるのは、鶴林寺・太龍寺と山岳霊場の難所が続くエリアで、1番札所からは歩き遍路で1週間程度かかる場所です。体が慣れてくるお遍路さんも多いですが、怪我をされたり、挫けそうになる人もいるとのこと。

「でも、ここでリタイアすると(難所の途中なので)次回のリベンジが難しくなると思うのです。だから、次へとつながるように、阿波一国打ち(徳島県内の札所のみを巡礼すること)、もしくは次の22番札所平等寺まではがんばってもらえるように励ますことが多いです。」と話す恵美さん。

「歩き通すことにこだわりすぎて、つらくなっている人もいるので、”空海さんだって、船も馬も使っていた。今に生きてたら電車もバスも使ってる” と伝えたりします。これは、同じように歩きがつらくなっていた女子学生さんが、たまたま出会ったおじいさんに言われた言葉です。その子は、空海さんも馬に乗っていたと思うと、気持ちが楽になり最後まで歩くことができたようで、私もこの言葉を使うようになりました。」

難所のエリアだからこそ、ひとりひとりに向き合い励まし続ける恵美さん。「ここではリタイアさせません!」と話す力強い笑顔に、私自身も勇気づけられる思いがしました。

碧軽食

現在は「素泊まり」ですが、持ち帰りも可能な軽食と朝のおにぎりはお出ししているそうです。

 

【果樹オーナーの宿 碧 基礎情報】

名 称 果樹オーナーの宿 碧
宿の形態 民宿
住所 徳島県阿南市吉井町片山12

「果樹オーナーの宿 碧」の詳細情報とご予約はこちらから↓
四国宿泊予約サイト「お遍路さん家」【果樹オーナーの宿 碧】

 

笑顔のお接待がうれしい「果樹オーナーの宿 碧」では、宿泊以外にも果物や野菜の収穫体験が楽しめるほか、果物・野菜の販売(通販)も行っています。生産者の人柄がわかった上でいただく果物は、また格別なものだと思います。

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この記事を書いた人

札幌で生まれ育ち、東京にて都市計画コンサルタントに従事。結婚を機に香川に移住し、地方自治体勤務などを経て現在に至る。お遍路文化を通じた新しい四国の楽しみ方を模索しています。日本酒とワインが好き。