羽根町にできた新しい"居場所"のほっこりお宿【おうち宿しだお(高知県室戸市)】

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室戸三山(24番〜26番)と27番神峯寺の間、羽根町に位置する「おうち宿しだお」は、女将さんのほっこり笑顔が素敵な宿です。地元の人のサロン的存在になりつつあります。

 

室戸市羽根町の「おうち」が宿になった「おうち宿しだお」

お遍路さんが泊まる宿の歴史やオーナーの思いについてインタビューする遍路宿紹介シリーズ。今回は、室戸市羽根町にある「おうち宿しだお」さんを訪ねました。

おうち宿しだおは、26番金剛頂寺から27番札所神峯寺までの遍路道(国道55線)沿い、「お倉まんじゅう」で知られる羽根町にあります。
※お倉まんじゅうに関しては、以下リンクのごんのすけさんの記事で紹介されています。

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開業した2020年6月当初はコロナ禍の影響を受けていましたが、地元にも知られるようになり、地域のサロン的な宿に成長しつつあります。室戸のガイドもしているオーナー歯朶尾己知子(しだおみちこ)さんに、お話を伺いました。

しだおさん笑顔

「大変だったり辛くても、人と話すと嬉しくて笑顔になっちゃう」という歯朶尾さん。

 

家族を見送ったあとにはじめた「おうち宿」

「おうち宿しだお」は寄り添うように建つ3棟の家で構成されています。一つは歯朶尾さん自身が住む家で、残り2棟が宿泊棟です。

元々は3世代で住んでいた家でしたが、7年の間に次々と家族を見送ることになったという歯朶尾さん。3年前にはご主人も病気で亡くし、大変な状況が続きました。少し落ち着きを取り戻したころ、自由になった時間を使って歯朶尾さんはいろいろな活動を始めます。室戸のガイドもそのひとつで、講習会では室戸周辺で活動する仲間もでき、様々な刺激を受けたそうです。

それと同時に、空き家になった家を宿にすることを決意。2020年4月には開業届が受理され、6月に看板を掲げてスタート。Facebookで情報発信するとともに、お手製のチラシを周囲に配って、ご近所さんにもご挨拶。「知らない人の出入りでご近所さんを驚かせたくなかったのと、何より地元の人に宿を可愛がってほしいから」と歯朶尾さんは話してくれました。

おうち宿しだお チラシ

手書きのチラシには、外からのお客さんと地域の人の両方に向けた案内が書かれています。

 

コロナ禍スタートから宿泊客が増えるまで

開業当時は、ちょうどコロナによる活動自粛要請の真っ最中。お客さんは少なかったものの、大阪に住んでいる歯朶尾さんの妹がプロアマ混合の音楽家を招いて合宿をしたり、5家族で集まって夏休みを過ごすなど、何かと活用してくれたそうです。音楽家の合宿最終日には、室戸のウクレレ会の人と一緒に地元の人を招いての演奏会も開催されました。

おうち宿しだお 5家族夏休み

5家族の夏休み風景

活動自粛要請が収まるにつれ、仕事で定期的に泊まるお客さんができたり、立地の良さからお遍路さんも来るようになったりと、開業から半年を待たずに宿泊客は徐々に増えていったのだとか。「お客がつくまで3年はかかる」と言っていた知人の宿経営者からも「早すぎる」と驚かれるそうです。

泊まるお遍路さんは、リタイア層の男性がメイン。若い人はまだ少ないようですが、若いお坊さんが「お寺を継ぐ前にもう一度お遍路をしたい」と泊まったことがあったと教えてくれました。

おうち宿しだお 庭の柿

庭の柿の木。たくさんなっていた実は宿泊者に分けたそうです。

 

「なんか面白いことやってくれんがかね」

「地元の人からは『この辺はなんちゃあないから、面白いことやってくれんがかね』と言われます。室戸市中心部まで少し距離があるので、身近にあるこの宿に期待してくれているみたいです。」と歯朶尾さん。宿には地元の人や友人たちの「やってほしいこと」が自然と集まってくるそうです。

みんなの期待と歯朶尾さんのやりたいことが重なって、これまでにも、デイサービス帰りのお年寄りたちのお茶会や、地元ケーブルテレビ番組の鑑賞会などを企画してきましたが、残念ながら現在はコロナの影響で自粛中。この自粛が解けるまで、次への力とアイデアをためているところです。

「今は少し我慢の時期ですけど、みんなにこの場所をたのしんでもらいたいし、ほっこりしてもらいたいと思っています。」と、これまたほっこり笑顔で語ってくれました。

おうち宿しだお 田舎寿司

これは野菜の握りで有名な高知の「田舎寿司」。歯朶尾さんは必要とする人向けにお弁当づくりをしており、お惣菜の販売も検討中とのこと。

 

【「おうち宿しだお」 基礎情報】

名 称おうち宿しだお
宿の形態民宿
住所高知県室戸市羽根町乙1379-3

「おうち宿しだお」の詳細情報とご予約はこちらから↓
四国宿泊予約サイト「お遍路さん家」【おうち宿しだお

 

話の合間に「この辺りの人は狩猟民族なんですよね」と教えてくれた歯朶尾さん。海では魚や貝、山では山菜やイノシシ等がとれ、平地には野菜がある。それを近隣で分け合うので食費はほとんどかからないのだとか。おうち宿しだおに訪れる機会があれば、ぜひ東高知のことを尋ねてみてください。歯朶尾さんから豊かな高知の姿が伝わってくると思います。

この記事を書いた人

廣瀬美音子
札幌で生まれ育ち、東京にて都市計画コンサルタントに従事。結婚を機に香川に移住し、地方自治体勤務などを経て、2019年から株式会社四国遍路(https://shikokuhenro.co.jp/)に入社。お遍路文化を通じた新しい四国の楽しみ方を模索しています。日本酒とワインが好き。