高知県安芸市の古民家で泊まってみる。地元の人との深い交流が実現し、とても印象に残った。心地よいゆったりステイができた「Hostel 東風ノ家」
農産物や海産物が豊富な高知県安芸市
高知県東部に位置し、冬春ナスや柚子などの農作物は全国的にも有数の出荷量を誇る安芸市に着いたら、少しでも観光をできるチャンスが欲しい。漁業も盛んなこの町は、釜揚げちりめん丼も特産物として有名だ。しかしながら、ローカルを感じることに貪欲な私は、旅の大切な要素を満たす宿泊施設にもできるだけこだわりたい。
地元出身の女性が運営する古民家宿「Hostel 東風ノ家」
今回泊まることとしたのは、2020年9月に新しくオープンした宿「Hostel 東風ノ家(ホステル こちのや)」さんだ。
こちらを運営するのは地元安芸市出身の仙頭杏美(せんとうあずみ)さん。安芸市と高知を色々と盛り上げたいという強い気持ちから、宿をオープンすることにしたという。高知へ旅行しに来たお客さんに、もっともっとディープな高知を伝えたいと考え、武家屋敷を活用したゲストハウスを開くことにしたそうだ。地元に長く佇む歴史を纏った武家屋敷を地元出身の方が活用したお宿。一泊の滞在で、これほど奥深く安芸や高知を感じることのできるゲストハウスは希少だと思う。
オーナーの杏美さんは、憧れてしまうほどにとても明るく本当にエネルギッシュな若い女性。宿のベースが古く趣のある武家屋敷で、建物そのものの特徴を綺麗に残した上でかつ快適な滞在ができるよう改装されてある。特に印象的だったのは昔から残るという青い漆喰壁だ。共有スペースが広く、キッチンやダイニングも自由に使える。寝室はドミトリーと個室の両方を備え、誰でも気楽に宿泊することができる。現在のところは素泊まりのみの設定となってはいるが、それでも時折地元の食材を使ってキッチンで一緒に料理をしたり、美味しい居酒屋さんや飲食店が近辺にもたくさん点在しているため通常はそんなところでご飯とお酒を楽しむのもよい。
私が宿泊させていただいたその晩は、たまたま長期滞在中の大学院生と杏美さんとの3人で晩ごはんを作ることになった。近くの道の駅で買ったお野菜と魚屋さんで買ってきたお魚をお刺身にし、地元の素材たっぷりの美味しい食事を囲みながら最後に杏美さんとふたりでビールを飲んだ。
安芸や高知、そして四国のこと、はたまた自分たちの人生について遅くまで語り合った。杏美さんはゲストハウスのオーナーというだけでなく、高知新聞のフリーペーパ「K+(ケープラス)」のライターの仕事もされており、安芸市出身だからこそ知る魅力的な情報をたくさん話してくれた。通り過ぎるだけの旅ではなく、こうやって少し立ち止まって地元の方々と語り合うことにより旅はもっともっと深いものになっていく。
本当にオープンマインドで温かいオーナーさんが切り盛りするお宿。私のようにひとりで旅する者にとって、自由でかつ他のゲストとオーナーさん皆でワイワイできるような宿はとても貴重だ。さらに、そこに長年佇んで来た武家屋敷で泊まるという体験は、安芸市の昔の生き方の一部を感じながら滞在できる貴重な時間となった。またいつの日か、必ず戻ってきたい。
【「Hostel 東風ノ家」 基礎情報】
名 称 | Hostel 東風ノ家(こちのや) |
宿の形態 | ゲストハウス |
住所 | 高知県安芸市矢ノ丸1丁目9-28 |
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