高知県大月町にある「柏島」は、人口およそ400名の小さな島ですが、ダイバーの間では「沖縄並みに海がきれい」と評判で、全国屈指のダイビングスポットとして話題になっています。柏島の魅力と海が澄んでいる理由を深掘りしてみました。
高知県の西端に浮かぶダイバーの楽園「柏島」
高知県の最西部にある「柏島(かしわじま)」は、全周約4km・面積570,000m²(東京ドーム約12個分)の小さな島です。島とはいえ、県道43号線の橋で本土とつながっているので、アクセスはしやすいです。
お遍路道中においては、足摺岬の先にある38番札所金剛福寺を参拝したあと、39番札所延光寺に向かう際に西側の大月町を通るルートを選択すれば、遍路道から約15kmほど足をのばした場所にあたります。
柏島は近年、ダイビングスポットとして注目されています。
島の周囲のいろいろな場所からダイビングボートで数分〜数十分の距離に、数多くのダイビングポイントが点在しています。小さな島に10店舗をこえるダイビングショップがあり、初心者向けの体験ダイビングから経験豊富なダイバー向けの本格的なコースまで幅広いダイビングプランが提供されています。

柏島の周囲にはエメラルドグリーンのグラデーションが美しい海が広がっています。
海の透明度を生む3つの秘密
柏島がダイビングスポットとして人気になっている理由として1番に挙げられるのは「海の透明度」です。
条件が良い日には水中で20〜30m先まで見えるといわれています。これは、日本屈指のダイビングスポットである沖縄の人気エリアにも引けを取らない数字です。では、なぜ柏島でここまで海が澄んでいるのでしょうか。そこには3つの秘密があります。
①黒潮の影響
柏島の沖には、日本列島の南を流れる暖かい海流「黒潮」から分岐した流れが入り込んでいます。黒潮はもともと透明度が高い外洋の水で、栄養分は少ないことから濁りのない透明度の高い海になりやすいという特徴があります。この黒潮の恩恵を直接受けられる立地が柏島の海を美しくしています。
②大きな川が流れ込んでいない
海の透明度を下げる大きな原因のひとつが、川から流れてくる土や泥です。柏島の周辺には大きな川がほとんどなく、陸からの濁った水が海に流れ込みにくい環境になっています。そのため、雨が降った後でも比較的、海の透明度が保たれやすくなります。
③複雑に入り組んだ地形
柏島の周辺はリアス式海岸(狭い湾が複雑に入り込んだ海岸)が多く、外洋の荒い波の影響を受けにくい穏やかなポイントがいくつもあります。波が穏やかだと海底の砂や泥が巻き上がりにくいため、いつでも安定した透明度を楽しむことができます。
この3つの条件がそろっているからこそ、柏島は「本州にいながら沖縄クラスの海が叶う」奇跡のようなスポットになっているのです。

太陽の光と海の透明度が組み合わさって発生する「バブリング」は、海中でしか見られない神秘的な現象です。
初心者からベテランまでを虜にする柏島だけの魅力
柏島の海が特別なのは、透明度の高さだけではありません。
柏島には日本で見られる魚のおよそ3分の1、1,000種類以上の生き物が生息しているといわれています。これは黒潮に乗ってやってくる南方系の魚と、もともとこの海域にいる温帯の魚が同じ場所で共存しているためです。カラフルな熱帯魚のような魚から、じっくり探して見つける小さなレア生物まで、多種多様な魚の姿を楽しむことができます。
また、ポイントによって見える表情もさまざまです。
テーブルサンゴが広がる浅場でのんびり泳ぐポイントもあれば、砂地でユニークな形をしたハゼの仲間が生息するポイント、外洋に面していて運がよければイルカや大きな回遊魚に出会えるポイントもあります。何度潜っても飽きないポイントの豊富さも柏島の特徴です。
ダイビングが初めての人でも参加できる体験ダイビングを実施しているダイビングショップも複数あり、道具のレンタルからインストラクターのサポートまでサービスがしっかり整っているので、安心して海の世界をのぞくことができます。
私は8月末の残暑がのこる暖かい季節に柏島を訪れました。柏島へと続く橋を渡る前から周囲に見える透き通った海の色にまず感動しました。
私はダイビングのライセンスを所持していないため、ダイビングショップにてインストラクターさんの指導のもと、体験ダイビングをしました。エントリーポイントまでは、ボートで移動し、漁師町ならではの漁船が停泊する風景に旅情を誘う美しい光景も味わうことができました。
潜る前は少し不安もありましたが、そんな気持ちを忘れさせてくれるほど、海の中は透き通っていて圧巻でした。目の前を元気に泳ぐ魚たちは種類も豊富で、手を伸ばせば届きそうなほどの距離で自分も魚になったかのような感覚でした。気づけば不安はすっかりワクワクに変わり、海の中はまさに夢を見ているような時間でした。
この体験をきっかけに、本格的にライセンスを取得したいという気持ちが芽生え、次はもっといろいろなポイントに潜って、柏島の海をさらに楽しんでみたいと思えるほど感動的な体験でした。
柏島の海のベストシーズンは、夏から秋にかけての時期です。この季節は水温が安定し、透明度もぐっと増します。南方系の魚も増えるため、柏島らしいカラフルな海を体感したい人は、9月から11月頃のシーズンを狙って訪れてみてください。

手が届く距離で泳ぐ魚たちに柏島の海の豊かさを感じました。

漁船が並ぶのどかな景色も柏島ならではの魅力で、澄んだ海とのコラボが映えていました。
高知県の小さな島・柏島には、黒潮・河川の少なさ・地形という3つの条件が重なり合って生まれた透明な海が広がっています。1,000種類をこえる生き物たちが暮らすこの海は、初心者ダイバーからベテランダイバーまで誰もが夢中になれる特別な場所です。
お遍路旅をはじめ四国を旅する機会があれば、ぜひ柏島まで足をのばして、その澄みきった海の世界をのぞいてみてはいかがでしょうか。
【「柏島」 地図】










