お寺(札所)に到着した巡拝者を迎えるのが 「山門」です。参拝は山門をくぐるところから始まります。山門のくぐるときにも礼儀作法がありますので、覚えて実践すると参拝の気持ちの準備が整います。
—– 記事に登場する主な地名・単語
山門(さんもん)
俗界(ぞくかい)
聖界(せいかい)
金剛力士像(こんごうりきしぞう)
草鞋(わらじ)
波照間島(はてるまじま)
山門のくぐり方と仁王さま
山門は 私たちが暮らす俗界と、仏さまたちが暮らす聖界を分けるゲートとお考え下さい。
山門には一対二体の金剛力士像(仁王像、仁王さま)が、こちらに睨みを効かせています。
仁王さまの役割は "守衛"
仏さまたちが暮らす清らかな世界に、悪い心を持った者が侵入しないように守っています。
故に神仏が暮らす世界に入らせてもらう時(=山門をくぐる)は、帽子等菅笠以外のかぶり物は脱いで、一礼してから清らかで謙虚な心を持って入らせてもらうようにしましょう。
※菅笠の着脱に関しては、以下記事でも詳しくご説明しています。
四国八十八ヶ所霊場は基本的には左側通行で、別途 歩行区分が指定されている寺院ではそれに従うようにしてください。
大きな草鞋が意味するもの
また、83番札所一宮寺の山門には、大きな草鞋が一対奉納されています。
稲藁で編まれた草鞋には、その土地でたくさんお米が獲れた感謝を仏さまに伝える意味合いがある他に、仁王さんと同じ魔除けの意味合いも存在します。
解釈としては、
この先にはこの大きな草鞋サイズの足を持つ大男がいるよ
悪いことしに入って来たら返り討ちに遭うよ
そんな脅し(=魔除け)の意味合いがあります。
これは特別どの地域の風習かということではないのですが、個人的な感覚としては西日本の寺院に多い気がします。
四国八十八ヶ所霊場の札所で思いつくところでは、44番札所大寶寺の山門に大きな草鞋が奉納されています。
余談になりますが、
沖縄県の波照間島には、島に巨人の存在を誇示するために大きな草鞋を編んで、浜から流す…
という風習があります。
山門や仏閣に基づいた風習ではありませんが、魔除けと言う点で意味は同じ。
波照間島は日本国内ではありますが、民間人が行くことが出来る日本最南端の地であり、台湾やフィリピンの方が近いような場所。
一見繋がりが無いように見える場所によく似た風習が伝わっていることは、非常に興味深いことです。
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山門が有るお寺、無いお寺
山門は全ての寺院、八十八ヶ所札所に存在するわけではありません。
過去に落雷などで焼失した場合や、神仏判然令で解体されて今に至るまで再建されていない山門は、全国に数多く存在します。
また、一宮寺のように 山門は存在するけれど駐車場が反対側にあるところは、遍路の多くを占める自家用車・団体バスで訪れるお遍路さんは他の入口から境内に入ることになり、山門を通らない、気付かない、そのような寺院もあります。
山門が存在しない寺社では 「ここから境内かな」と自身が感じた場所で立ち止まり、同じように脱帽・一礼してから入らせてもらうようにされてください。
※ 参拝の手順や解釈について、一般的な見解に基づき紹介しています。他にも様々な方法や解釈があることをご留意ください。
【遍路参拝作法その1】山門のくぐり方に関しては、以下の動画もご参考ください。
※遍路参拝作法の次の手順に関しては、以下リンクの記事に続きます。
※すべての遍路参拝作法のまとめと動画出演者の情報は、以下リンクの記事に掲載しています。
最近は、お遍路用品の品揃えが豊富なネットショップが増えてきていて、お遍路出発前にいろいろな商品をじっくり吟味して揃えることができるようになってきています。
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