【遍路参拝作法その4】灯明・線香の作法

遍路参拝で本堂・大師堂で勤行する前の準備には主に「灯明」「線香」「納札」「賽銭」がありますが、灯明と線香の作法と意味について解説します。

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参拝作法 灯明・線香の作法

—– 記事に登場する主な地名・単語

灯明(とうみょう)
冥界(めいかい)
香炉(こうろ)

 

灯明(燈明)の意味

"とうみょう" と読みます。
ロウソクに火を灯すことは、光を発するという意味があります。その光を誰に届けるのか。

それはご先祖さまです。
先祖が暮らす冥界は、普段は真っ暗で何も見えません。そこに届いたロウソクの光によって、子孫がお参りに訪れている姿を見ることができるようになります。
ご先祖さまからしたら、自分を想って参拝する子孫の姿を見て喜び、ご褒美をくれるかもしれません。

それすなわち "ご利益" ですね。

 

線香の意味

冥界に暮らすご先祖さまたちは、我々が考えるところの「ご馳走」を食べることはできません。
そこで何を召し上がってもらって満足してもらうのか?

"良い香り"
です。

線香から出る煙が、ご先祖さまたちにとってのごちそう。

同じ意味として、四国八十八ヶ所霊場の札所寺院へ行くと、大根や人参などの根菜類を斜めに切ってお供えしていることがあります。
これは野菜をそのようにカットすることで、より香りが立ちやすくなる工夫であり、その香りをご先祖さまに召し上がってもらうためのものです。
主には、真言宗でも高野山派に属する寺院の風習です。

 

灯明・線香の手順

ろうそくを1本手に持ち

ライターで火をつける

ろうそく台の戸を開いて

上の段に火のついたロウソクを立てる

ろうそく台の戸を閉める

 

線香を1~3本手に持ち

ライターで火をつける

数秒待ち、線香に火がちゃんと点いたことを確認したら

手であおいで火を消す

香炉(線香立て)の中央に線香を立てる

 

灯明の補足事項

火器は主にライターとマッチがありますが、マッチは火を点けた後にゴミが出るので、家庭での使用であれば良いのですが、屋外での参拝には不向きです。風が強い時にはマッチを擦ってもすぐ消えてしまうという点でも、巡拝での使用には向きません。

ロウソクは必ず上の段から立てるようにしましょう。下段や手前から立ててしまうと、後からそれを行う参拝者の妨げになります(袖が焼ける)。

自分が立てたろうそくの火で線香に火を点ける行為について、それ自体は問題はありませんが、団体での参拝時など大勢の参拝者が周囲に居る時は、数秒といえどろうそく台を塞いでしまうことになります。周囲の状況に応じて行うようにされてください。

既に火が付いて立ててあるロウソクから、自身のロウソク・線香に火をもらう行為は "もらい火" と呼び、好ましくない行為とされています。
これはロウソクを見ただけでは どんな方が立てたかわからない…。もしかしてそれを立てた人が悪業が深く、その懺悔の旅を行っている巡拝者のものだったら…その因縁までもらってしまう事になります。
寺院によっては、種火として太いロウソクなどを用意していることがあります。この場合は出所が確かな聖なる火ですので、そこからのもらい火はOKです。

 

線香の補足事項

線香の本数について特に決まりはありませんが、三本という本数が一般的です。理由は参拝者によって様々ですが、先祖・自分・子孫のように、身近な家族の単位として好まれる風潮があります。

線香を真ん中から立てることも、ロウソクを上段から立てることと同様です。後から訪れる参拝者への思いやりとしてお願いします。

 

※ 参拝の手順や解釈について、一般的な見解に基づき紹介しています。他にも様々な方法や解釈があることをご留意ください。

 

【遍路参拝作法その4】灯明・線香の作法に関しては、以下の動画もご参考ください。

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※遍路参拝作法の次の手順に関しては、以下リンクの記事に続きます。

【遍路参拝作法その5】納札・賽銭の作法

※すべての遍路参拝作法のまとめと動画出演者の情報は、以下リンクの記事に掲載しています。

遍路参拝作法まとめ

 

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この記事を書いた人

四国遍路案内人・先達。四国八十八ヶ所結願50回、うち歩き遍路15回。四国六番安楽寺出家得度。四国八十八ヶ所霊場会公認先達。 高松市一宮町で「だんらん旅人宿そらうみ(http://www.sanuki-soraumi.jp/)」を運営。