【知多四国霊場18番札所光照寺→19番札所光照院】日本酒と酢の産地を通るお遍路道

愛知県半田市の知多四国霊場18番札所光照寺から19番光照院に向かうお遍路道中では、江戸時代から明治時代にかけて醸造業で繁栄したエリアを通ります。当時の物流を支えた半田運河沿いには歴史的建造物ものこっており、人気の観光スポットになっています。

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日本酒と酢の醸造で栄えた半田市

愛知県半田市(はんだし)の西部の海沿いの地域は、良質な水と温暖な気候に恵まれ、発酵や熟成に適した環境であったため、江戸時代から日本酒や酢などの生産が盛んになり、醸造業が発展していきました。製品の輸送には船を活用して、運河を使って海に出る海上輸送により、迅速かつ大量の輸送が可能になり、名古屋や江戸などの大都市圏に出荷が盛んに行われたことが、繁栄の礎になりました。

輸送に使われていた「半田運河(はんだうんが)」は、十ヶ川(じゅっかがわ)の新橋(しんばし)から船方橋(ふながたばし)までの約750mの区間のことをいいます。半田で生産された日本酒や酢は、「樽廻船(たるかいせん)」と呼ばれる船で運河から海を通って輸送され、特に当時の江戸で握り寿司ブームが起こったことによる酢と日本酒の需要急増に応えたといいます。
半田の中埜酒造(なかのしゅぞう)が造る日本酒「国盛(くにざかり)」は、当時の銘酒の生産地として知られていた兵庫の灘や伊丹の日本酒と肩を並べる程の人気であったといわれていて、産地が江戸と関西の中間であったことから「中国銘酒(ちゅうごくめいしゅ)」と呼ばれていたそうです。
また、ミツカンは、酒粕を使った酢を大量に生産していたそうで、酢産業と日本酒産業が近隣で密につながっていたことも発展の要因となったようです。

半田運河沿いのエリアには、現代でも醸造文化の歴史が色濃く残っており、醸造産業を象徴する歴史的建造物が多数あり、「醸造のまち」として知られています。酢のミツカンと日本酒の中埜酒造は、現在でも全国有数のメーカーとして名をはせています。
半田運河沿いには現在は散策路が整備されており、往時の物流を支えた風景を眺めながら、地域の歴史や文化を学んだり、発酵食や伝統工芸の体験なども提供されていて、半田ならではの地域文化や魅力を味わうことができる人気観光スポットとなっています。

知多四国霊場巡礼においては、18番札所光照寺(こうしょうじ)から19番札所光照院(こうしょういん)に向かうお遍路道が、半田運河沿いの散策路を含むので、歩きお遍路さんは運河やレトロな建造物群の風情ある景色を楽しむことができます。お遍路道順に見どころスポットをご紹介します。

半田市蔵のまち周辺観光ガイドマップ

観光ガイドマップを見ると、運河沿いに見どころスポットが集中していることがわかります。

 

「国盛」ブランドで有名な「中埜酒造」

18番札所光照寺の山門を出て、県道261号線を西方面に約550m進むと左手にJR線の高架が見えてきますので、高架下を南に抜けて県道247号線に出て西に進みます。半田大橋交差点をこえて約200m進むと、左側に小道がありますので、左折し南に入ります。

知多四国霊場18番札所光照寺_19番札所光照院_県道247号線分岐

仏壇店と電機店の大きな看板を目印にして、ひとつ手前の交差点を川沿いに南に入ります。

知多四国霊場18番札所光照寺_19番札所光照院_半田運河沿い散策路

川沿いの道が半田運河散策路で、車通りは少ないので歩きやすいです。

知多四国霊場18番札所光照寺_19番札所光照院_半田運河沿い蔵のまち

散策路を進むと、右手に中埜酒造の醸造蔵が立ち並んでいて、吟醸香がほのかにただよっています。

知多四国霊場18番札所光照寺_19番札所光照院_中埜酒造分岐点

運河沿いを約650m進み、T路地を角にある石柱を目印に右折してください。

T路地を約10m西に進むと、右手に最初の見どころである中埜酒造の工場と「酒の文化館」が見えます。知多半島には酒蔵メーカーが7軒あり、その中でも国盛のブランドで有名な中埜酒造は、全国的に名の知られるメーカーのひとつです。酒の文化館は、江戸時代から日本酒を製造していた蔵の建物を活用した観光施設で、日本酒製造の歴史などを紹介する展示物があります。入館無料で、直売所も併設されているので、日本酒の購入が可能です。

中埜酒造酒の文化館

迫力ある「国盛」の銘板が目立つ酒の文化館は、とても大きな建物で、中埜酒造の繁栄の歴史を物語っています。

酒の文化館の南の建物は、国の重要文化財に指定されている「旧中埜半六邸」です。
中埜半六家は、江戸時代後期から明治時代初期にかけて、海運業や醸造業などで富を築いた、代々の半田の富豪です。尾張藩御用達在郷十人衆に選ばれた、尾張でも抜きん出た名家で、尾張藩主を迎えるための御成間を邸内に常設していたともいわれています。特に六代目半六は帳簿その他事務の整理が巧みで、独自の簿記法を考え出したり、半田運河一帯の整備に取り組むなど、近世以降の半田の大発展の原動力になりました。
明治時代に中埜半六家の邸宅として建てられた歴史的な建築物を保存・修復・活用する取り組みがされていて、現在はフレンチレストランやバームクーヘン屋さんが営業し、イベントなどを開催する貸しスペースにもなっています。

旧中埜半六邸

旧中埜半六邸は、歴史ある建物を保存・修復し、有効活用している人気スポットです。

【「酒の文化館」 地図】

 

日本有数の酢メーカー「ミツカン」

次の見どころスポットは、酒の文化館から路地を南方面に約240m進んだ先の、県道112号線が通る源兵衛橋(げんべえばし)から南の船方橋にかけての約400mのエリアで、江戸時代の文化元年(1804年)に創業したミツカンの蔵が立ち並んでいます。まるで江戸時代・明治時代にタイムスリップしたかのような気分を味わうことができます。
黒壁の建造物群は、江戸時代後期から明治時代にかけて建てられもので、蔵や倉庫として使われていたものです。これらの歴史的建造物の一部を活用して、平成27年(2015年)に「ミツカンミュージアム(MIM)」がオープンしました。

ミツカンミュージアム

ミツカンミュージアムは、ミツカンの酢づくりの歴史やものづくりへのこだわり、食文化の魅力などにふれ、楽しみ、学べる体験型博物館です。

四季折々の風景とともに、歴史の面影を感じさせてくれるこのエリアは、ゆっくりとした心地よい時間が流れる観光スポットとして多くの人々に愛されています。遊歩道もあり春の桜、夏の緑、秋の紅葉、冬の静寂、イベントによるライトアップなど、半田運河と蔵の風景が歴史と自然が交差する特別な場所として老若男女に人気です。

ミツカンミュージアム_半田運河

ミツカンミュージアム前は、半田運河の絶好のフォトスポットです。

【「ミツカンミュージアム」 地図】

 

半田運河沿いの散策を楽しんだら再度路地を北に進み、酒の文化館まで戻り、十字路を西に約500m進むと知多四国霊場19番札所光照院に到着です。

知多四国霊場19番札所光照院

知多四国霊場の18番札所と19番札所は寺名に同じ「光照」がついていますが、別々のルーツをもつ寺院です。

愛知県半田市の西部にある知多四国霊場18番光照寺から19番札所光照院までのお遍路道中の半田運河沿いは、江戸時代から続く醸造業の繁栄地です。現代では、当時の繁栄の歴史を物語る歴史的建築物を活用した、歴史文化を体感できる人気の観光スポットになっています。
知多四国霊場巡礼のお遍路道中で、特にじっくり散策してみてもらいたいおすすめエリアのひとつです。

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この記事を書いた人

知多半島のお寺が好きで、知多四国霊場を中心にいろいろな霊場を巡礼し、観光やご当地グルメ(特にラーメン)も楽しんでいます。御朱印集めも趣味で、知多半島のお寺の御朱印はもちろん、全国各地の御朱印をもらいに巡り、アート御朱印などは取り寄せたりもしています。