四国八十八ヶ所霊場の結願所である88番札所大窪寺は秋の紅葉の名所として有名ですが、春の季節はしだれ桜を楽しむことができます。門前のうどんの名店「八十八庵」で、知る人ぞ知る人気メニュー「団蔵うどん」をいただきました。
結願所の春は「しだれ桜」
四国八十八ヶ所霊場の結願所、88番札所大窪寺は、秋の季節は紅葉の名所として知られ、お遍路さんはもちろん、多くの紅葉狩り観光客でにぎわいます。
一方、春の季節は、秋に比べるとまだまだ知られていませんが、しだれ桜の並木にたくさんの花が咲き誇り、こうべをたれる様子を楽しむことができます。
大窪寺は標高450mほどに位置しますので、平地に比べて桜の開花は1~2週間ほど遅く、この写真を撮影したのは2017年4月の中旬で、満開を迎えていました。
春の遍路シーズンを彩る新名物として、これから認知が広がってほしいものです。
「八十場庵」の名物おでん
このしだれ桜が咲き誇るのは、結願所のうどんの名店「八十八庵(やそばあん)」の駐車場です。
八十八庵の名物といえば、なんといっても「打ち込みうどん」で、鍋でグツグツ煮込まれたアツアツうどんが、結願を果たしたお遍路さんの身も心も温めてくれます。
※「打ち込みうどん」に関しては、以下リンクのごんのすけさんの記事に詳しく紹介されています。
【八十八庵】さぬきうどん遍路の結願は滋味あふれる「打ち込みうどん」で
うどんのおともとして、これまた名物として知られるのが「おでん」です。
さぬきうどんの本場である香川県のうどん店では、おでんを出す店が多く、それも年間を通して常備されています。
そんな香川県の中でも、八十八庵のおでんは特に有名で、これだけを食べにわざわざお店に足を運ぶお客さんもいるんだとか。
お店のレジ近くにあるおでん鍋から自分で好きなものをとるセルフスタイルで、おでん種はいくつか種類がありますが、その中でも特徴があるのはこんにゃくのおでんです。
この棒状のこんにゃくはお店自家製で、ブリンとした弾力と歯ごたえが特徴の逸品で、この食感と濃厚なこんにゃく芋の風味は、他ではなかなか味わうことができません。
白味噌を使った甘辛のからし味噌との相性も抜群です。このからし味噌、香川県ではおでんにかけるものとして定番ですが、他地域では珍しいかもしれません。
このこんにゃくは、お土産用の玉こんにゃくとしても、八十八庵の店頭でポリバケツに入って売られていますので、その光景を見られて印象に残っているお遍路さんも多いのではないでしょうか。
うどんのサイドメニューのはずなのですが、これだけもおなかが膨れそうな満足度の高いおでんです。
暖かい季節におすすめの「団蔵うどん」
前述で名物の打ち込みうどんに触れましたが、桜が咲きだす季節から夏にかけては、標高の高い大窪寺といえど、気温があがってきて、人によってはアツアツうどんは厳しくなってくるかもしれません。
※暑い日に汗をかきかきすする打ち込みうどんも、それはそれで良いものですが。
そんなときにおすすめなのが、知る人ぞ知る人気メニュー「団蔵うどん」です。
打ち込みうどんとは、麺自体が別物で、団蔵うどんは細めですこしねじりがかかっていて、プリッとした食感が特徴です。
付け出汁にくぐらせて食べるスタイルで、のどごし抜群のさわやかなうどんです。
薬味は、ネギ、ゴマ、のり、わさびが添えられていて、途中で味を変えながら食べることができるのも楽しいポイント。
他店でもざるうどんは定番メニューではありますが、団蔵うどんの細めのうどんは香川県では珍しく、見た目や食感は秋田県の稲庭うどんに近いかもしれません。
香川県のざるうどんの定番薬味は生姜ですが、団蔵うどんはわさびであることも、さわやかさをより引き立てています。
この団蔵うどん、変わった名前が付けられていますが、この由来は、今から約30年前に、 今は亡き歌舞伎役者「市川団蔵」が、四国八十八ヶ所霊場巡礼を終えた後、八十八庵に立ち寄り、 このうどんを食べ「こんなうどんは今までに食べたことがない。 はじめて、うどんの味がわかりました」と感嘆したことから、市川団蔵さんを偲んで「団蔵うどん」と名付けたそうです。
お遍路は、それぞれの季節で楽しむことができる花や食べ物との出会いがあります。
いろいろな季節のそのときの一期一会が、お遍路さんが四国に何度も足を運ぶ理由のひとつなのだと思います。
店名: | 八十八庵(やそばあん) |
営業時間: | 8:00~17:00 ※季節により変動あり |
定休日: | 年末(12月30・31日) |
住所: | 香川県さぬき市多和兼割93-1 |
電話: | 0879-56-2160 |
店HP: | http://www.yasobaan.jp/index.html |