【明神丸本店】藁焼きの香りが決め手の「鰹のたたき」を本場・高知県で味わう

高知県を代表する郷土料理といえば「鰹のたたき」です。表面を豪快に藁で焼き上げ、香ばしい香りをまとわせたこの逸品を、本場・高知県内の水産会社直営の名店「明神丸本店」でいただきました。

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「鰹のたたき」の本場・高知県内の水産会社直営の名店「明神丸本店」

高知県は、日本有数の鰹(かつお)の水揚げ量を誇ります。高知県の沖合には、日本列島の南を流れる暖かい海流「黒潮(くろしお)」が流れており、鰹はこの黒潮にのって春から秋にかけて日本近海を北上・南下します。高知の海はこの回遊ルート上にあるため、古くから鰹の一本釣り漁が盛んに行われてきました。1匹ずつ釣り上げる一本釣りは、網で獲る漁法に比べて魚の体に傷がつきにくく、鮮度の良い状態で水揚げできるのが特徴です。
その鰹をおいしく食べるための高知県ならではの調理方法が、表面を炙って中は生の状態の「たたき」です。鰹のたたきの起源には諸説がありますが、よく知られているのは、漁師が船上で食べていたまかない料理だったという説です。鮮魚の保存技術がなかった昔に、鮮度の落ちた鰹をおいしく食べるために、鰹特有の生臭さを軽減するたたきを用いたことが始まりといわれています。また、江戸時代の土佐国(とさのくに、現在の高知県)の藩主であった山内一豊(やまうちかずとよ)が食中毒を防ぐために鰹の生食を禁止したところ、領民がそれでも刺身を食べたい一心で表面だけを炙って「これは焼き魚だ」と言い放ち食べたという説も伝わっています。
いずれの説にも、新鮮な鰹を少しでもおいしく安全に食べたいという土佐の人々の工夫が表れています。こうした食文化が根付いた高知県では、1世帯あたりの鰹の年間消費量が令和6年(2024年)時点で全国1位となるほどで、鰹のたたきは高知県民のソウルフードであり、全国的にも知られる料理になっています。

現在では高知県内の多数の飲食店で鰹のたたきを味わうことができますが、今回私は高知市中心市街地にある人気店「明神丸(みょうじんまる)本店」を訪れました。
お遍路道中においては、30番札所善楽寺(ぜんらくじ)や31番札所竹林寺(ちくりんじ)から車で30分以内の立地です。高知市中心市街地は、JR高知駅を交通起点に、宿泊施設や飲食店が密集しており、高知城や屋台村「ひろめ市場」などの高知県を代表する観光名所もあります。移動拠点として滞在するお遍路さんも多く、明神丸本店はお遍路道中での立ち寄りにもおすすめです。

明神丸本店_外観

明神丸本店では店外から見える場所で鰹が炙られていて、立ちのぼる炎の迫力に胸が高鳴りました。

 

高知県の鰹のたたきが特別な3つの理由

私は、随分昔に高知県で鰹のたたきを食べたことがあったのですが、そのときの味がとても印象に残っていて、もう一度味わいたいと思い、今回は令和2年(2020年)8月末に名店と名高い「明神丸本店」を訪れました。

明神丸は、鰹の一本釣り漁獲高で日本一を誇る水産会社「明神水産(みょうじんすいさん)」が手がける飲食店です。本店は高知市中心市街地のJR高知駅から徒歩10分程のアクセス良好な立地で、迷うことなくたどり着くことができました。お店の外から鰹のたたきを調理している様子を見ることができ、炎がたちのぼる迫力に入店する前からワクワク感と期待が一気に高まりました。

今回は鰹のたたきを思う存分堪能すると決めていたので、「タレ」と「塩」の2種類を同行者とシェアしました。
まず運ばれてきたタレの鰹のたたきは、醤油に柑橘の酸味を加えたポン酢で味付けされたもので、お酒はもちろん、白いご飯との相性も抜群でした。一方の塩は、粗塩をふりかけたシンプルな味付けで、たたきの香ばしさと鰹本来の味をよりしっかり感じることができました。どちらも、生のにんにくやミョウガなどの薬味と一緒に食べることで、鰹の風味がより際立ち、味変しながら楽しむこともできました。

そんな高知県の鰹のたたきが地元の人はもとより高知県を訪れる観光客に愛され、今や全国的な知名度を誇るようになったことには、主に3つの理由があります。

①「藁焼き」ならではの香ばしさ
高知県の伝統的なたたきの調理法では、乾燥させた藁に火をつけ、900度近い高温の炎で鰹の表面だけを一瞬で焼き上げます。この高温・短時間の焼き方によって、皮はパリッと香ばしく仕上がり、中の身はレアな状態を保つことができます。藁ならではの独特な香りが身にうつることでガスや炭火では出せない奥深い風味が生まれます。

②鮮度の良い鰹の食感
一本釣りで水揚げされた鰹は身へのダメージが少なく、水揚げ後すぐに冷凍・冷蔵されるため、鮮度が非常に良い状態で飲食店に届けられます。新鮮な鰹は身の締まりがよく、もちっとした独特の食感が特徴です。

③鰹の風味を引き立たせる調味料・薬味
焼きたての鰹のたたきに塩だけをまぶす「塩たたき」が高知県ならではの食べ方です。シンプルなスタイルが鰹そのものの旨みやたたきの風味をダイレクトに感じられると人気です。
また、スライスした生にんにくや玉ねぎ、刻みねぎ、ミョウガ、しょうがなどたっぷりの薬味をのせて食べるのが高知県の鰹のたたきのスタイルです。生にんにくを添えることで旨味を引き立て、殺菌効果もあるといわれています。

高知県ならではの鰹のたたきをいろいろな方法で食べて、高知県の鰹のたたきの奥深さを実感することができました。初回注文分はぺろりとたいらげてしまい、タレと塩で迷いに迷った末に塩たたきを追加注文しました。店を出るときにはしっかりと高知県の鰹の虜になっていました。

明神丸本店_鰹のたたき_塩

厚切りのもちっとした食感と焼目の香ばしさが際立つ、明神丸本店の塩たたきです。

明神丸本店_鰹のたたき_タレ

柑橘の酸味がアクセントのタレたたきは、お酒やご飯が進みました。

 

全国各地で食べられる本場の味と春・秋が旬の鰹

明神丸では、お店の鰹のたたきの味を旅先や自宅でも手軽に楽しめるように、テイクアウトや通販取り寄せにも対応しています。また、高知県内に本店のほか「はなれ」「ひろめ市場店」「帯屋町店」「酒場亀次」など複数の店舗を展開しており、発送やギフトを専門に扱う「大橋通り店」もあります。
さらに、高知県外にも店舗展開しており、本場の藁焼き鰹のたたきを各地で味わうことができます。四国内では、愛媛県「松山二番町店」と香川県「高松店」があり、お遍路で四国内を巡る途中にも立ち寄りやすいのが嬉しいところです。中国地方では、岡山県「岡山本町店」「イオンモール岡山店」、関西地方では大阪府「なんばセントラルイータリー店」「KITTE大阪店」があります。関東では東京都に「品川高輪店」「吉祥寺店」「土佐みょうじん」「GEMS茅場町店」「竹橋パレスサイドビル店」の5店舗があります。全国各地に店舗があるので、旅行先やお住まいの近くなどぜひ明神丸を探してみてください。

高知県内には明神丸以外にも鰹のたたきを提供する飲食店が多数あり、観光客に人気の屋台村「ひろめ市場」では複数の店舗が鰹のたたきを扱うなど、店舗ごとの味を食べ比べするのも楽しいと思います。漁師直営の店舗では、藁焼きしたてを熱いうちに味わえる「焼き切り」を提供していることもあり、店舗によってそれぞれの特色があることも本場・高知県で鰹のたたきを味わう醍醐味のひとつです。

鰹には、1年の中で旬が2回あります。春から初夏にかけて獲れる「初鰹(はつがつお)」はさっぱりとした上品な味わいで、秋に獲れる「戻り鰹(もどりがつお)」は脂がのって濃厚な味わいだとされています。気候が穏やかな春と秋は、お遍路さんが四国を巡るのにも良い季節で、ちょうど鰹の旬と重なるため、旬の鰹のたたきを味わうのにうってつけです。訪れる時期によって鰹の味わいが変わりますので、何回も高知県を訪れて、その時期ならではの鰹のたたきを味わってみたいものです。

 

明神丸本店の鰹のたたきは、本場・高知県ならではの味とスタイルを体現しています。お遍路道中に訪れて味わえば、力がみなぎること請け合いで、特別な体験として思い出のひとつになることでしょう。

 

施設名 明神丸本店
住所 高知県高知市本町1-1-2
電話 088-820-6505
営業時間 17:00〜23:30(L.O.23:00)
月曜定休
ホームページ https://shop.myojinmaru.jp/shop/honten/

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この記事を書いた人

香川県小豆島生まれの四国を愛してやまないライター。旅行が大好きで、四国縦断の旅をしたこともあります。実際に暮らしてきたからこそ気づける四国の魅力を、自分の言葉で率直に伝えていきたいと思っています。記事を通して、たくさんの人に四国の良さを知ってもらい、存分に堪能してもらうきっかけになれば嬉しいです。