香川県東部では岩盤が侵食されたメサやビュートと呼ばれる特徴的な山が数多くあるため、大小様々な規模の二至のレイラインが見られます。そんなレイラインの中で中規模ともいえるラインを紹介します。
讃岐の聖地の特徴
讃岐の聖地の特徴は、善通寺と屋島を結ぶ基本線に見られるような二至を意識したものです。これは、主に聖山や聖山と聖山の間の峠をランドマークにして、そこに二至の太陽が出没するのが見られる場所に設置されています。
さらに、香川県東部(東讃)では岩盤が侵食されたメサやビュートと呼ばれる特徴的な山が数多くあるため、大小様々な規模の二至のレイラインが見られます。
甑神社
以前の記事『【87番札所長尾寺周辺】東讃の二至を結ぶレイライン』では、87番札所長尾寺がその聖山である大鉢山と二至の位置関係にあることを紹介しましたが、このラインを北東方向へ伸ばしていくと、甑山(こしきやま)に当たります。この甑山の中腹には甑神社があり、また、その南麓には男山神社があります。
甑神社は、甑山の北西側中腹にあり、その参道はかつての町境を成していました。これは、冬至の日の出と夏至の日の入を結ぶラインになっています。このラインを俯瞰してみると、屋島-甑山-雨滝山を結んでいます。
周囲に同じような高さの山が囲繞する甑山は、その山麓ではほとんど遠望が効きませんが、この山頂からだけ雨滝山を見通すことができます。これは、太陽信仰の聖地としての用件を満たしていることになりますが、さらに甑神社が巨岩の磐座を背負っていることから、巨石=磐座信仰と太陽信仰が複合した太古からの聖地だったと考えられます。
【「甑神社」 地図】
男山神社
南麓にある男山神社は、延喜7年(904)4月28日に、一郡一八幡の勅によって、紫雲山極楽寺宝蔵院住職明印法印が、京都石清水八幡宮を勧請したと伝えられています。明治初年に男山神社と称される以前は、神前八幡宮あるいは南流山男山八幡神社とも呼ばれ、神仏習合の聖地でした。
【「男山神社」 地図】
このように香川県東部の特徴的な山容をランドマークにレイラインを意識した聖地の痕跡が現代にも残っています。近隣の聖地とのつながりもさらに深堀りしていくと、新たな発見があるかもしれません。