お遍路をスタートする前に、札所で読むことになる「般若心経」の意味ぐらい理解しておいた方がよいかなと手に取ったのが【NHK100分de名著「般若心経」/「見えない力」を味方にする/佐々木閑著】です。
本書を読む前の私の「般若心経」の理解度というと、
・仏教に関連するお経
・私が幼いときに、祖父・祖母が仏壇や神棚に向かって読んでいた呪文のようなもの
ぐらいな状態でした。
それが本書読了後は、般若心経の最低限の意味を理解することができ、更にありがたかったのは、一般の般若心経解説書ではあまり語られることのない般若心経の成り立ちを知ることができたことです。
書店で本書を手に取った理由
般若心経に関する本をなんでもいいからとにかく入手しようと近所の書店に行くと、四国霊場開創1200年に関連して四国遍路特設コーナーが設置されており、遍路関連の書籍が多数陳列されいる中に、般若心経に関する本もいくつか並んでいました。
その中でも、本書を手に取った理由は
・薄くてすぐ読めそうだったから
・「NHKテレビテキスト」とあり、内容が易しい感じがしたから
→NHK Eテレで放送されている番組「100分de名著」のテキストの位置づけです
ぐらいの安易な考えでした。
読了後の印象も変わらず「短時間で読める」「平易な文章でわかりやすい」なのですが、内容は薄くはなく、とても濃い中身で、般若心経に関して理解が深まったと実感がありました。
衝撃!!の前書き
読み始めると、まず前書きで心を掴まれるフレーズがありました。
実は、最初に告白しますが、今回この本の中で私は、そんなふうに日本人に愛されている『般若心経』のイメージをひっくり返してしまうかもしれません。もちろん貶めるつもりなど全くないのですが、みなさんが抱いている理解と、私はたぶん違うことを言うと思います。
般若心経に関する理解の乏しい私は固定的なイメージはなかったので、ひっくり返ることはないだろうなと思いつつ、「こりゃおもしろそうな本」という印象を受け、以後も一気に読み進めることができました。
読了後も、理解がひっくり返ることはありませんでしたが、著者の意図を素直に受け入れることができ、般若心経をより知りたいという興味も湧きました。
「般若心経」の成り立ちの重要ポイント
前述のひっくり返るポイントになるフレーズは以下に集約されると思います。
『般若心経』が述べていることは必ずしも釈迦の考えではありません。それは、むしろ、「釈迦の時代の教えを否定することによって、釈迦を超えようとしている経典」なのです。
「仏教=お釈迦様の教え」と思われている方には、びっくりする内容だと思います。
本書でこのことを知ることで、般若心経の本質に近づくとともに、釈迦の考え方・教えの一端に触れ、自分が遍路で何をなすべきなのかを考えるきっかけも掴むことができました。
ひっくり返る内容だけではなく、「般若心経」の意味が平易に理解できるエッセンスがつまっており、「般若心経」や「お遍路」への興味・想いの膨らむ一冊です。
興味が湧いた方は、ぜひ以下からご購入の上、読まれてみてください。
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