【鳥林】今治市の名物の串も炭もない「焼鳥」を食す

愛媛県今治市の地元民の集まるローカルな居酒屋「鳥林」へ今治名物の焼鳥を食べに行く。串も炭もない焼鳥に混乱しながらも、土地の郷土料理を堪能することができた。

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今治焼鳥

今治の焼き鳥屋「鳥林」

今治では炭火ではなく鉄板で鶏肉を焼く。

今治市街地で宿泊したゲストハウスのオーナーさんに今治の郷土料理をたずねると、焼鳥だと聞いた。焼鳥に目がない私の今晩の食事が決まった。
今治駅の近くにあるスーパー銭湯で旅の疲れをとり、そこから歩いて約10分の焼鳥屋「鳥林」という店に行った。店内に入るとすでに満員近くまでお客さんがぎっしり入っており、活気ある雰囲気と焼鳥の香りに気持ちが高ぶってきた。

カウンター席に座りメニューを見た。店長さんに「これ2串の値段ですか?」と聞いたら「いや、一皿だ」という言葉が返ってきた。今まで食べてきた焼鳥は串焼きだったので、その回答に少々混乱した。とりあえず、その意味を深くたずねることはせずにせせりとれんこんを注文してみた。
店長さんらしき人がカウンターの向こう側にある鉄板で料理を始めたのを眺めていると、今治では炭火ではなく鉄板で鳥や野菜をグリルするということに気がついた。これこそが、「今治焼鳥」と呼ばれ地元民に愛されるこの土地ならではの郷土料理の特徴なのだ。
なぜ串ではなくこういうスタイルが定着したのかをたずねてみると、今治の人は「せっかち」だから串の焼鳥を食べるのがめんどくさいため、鉄板で焼いて食べるのだと教えてくれた。あとでその文化について調べてみると、元々は漁業や造船関係者などが時間を短縮するために考案したのがそのルーツという説が濃厚なようだ。郷土料理や文化は、こんな風にその土地その土地の人達の性格から生まれるものもあり、実に面白い。またまたひとつ、体験を通して学べたことが増えた。

さて、せせりが焼き上がり自家製のタレがかけられてお皿に盛られて登場した。お箸で焼鳥を食べるのが初めてで、なんだか不思議な感覚。タレもとてもバランスよく、ビールに合う味がたまらない。他に名物の「せんざんき」という今治唐揚げも注文した。今治のせんざんきは骨ごと鶏肉を揚げるため、骨からしみ出る旨味で実に美味。油っこくもなく、パリっとした絶品のひとつだ。店長さんやスタッフがとても親切で、ひとりでも入りやすいお店だった。

今治名物「焼き鳥」

串単位ではなく”皿”単位。

 

店名:  鳥林
営業時間: 17:00~22:00
定休日: 日曜
住所: 愛媛県今治市南大門町1丁目6-17
電話: 0898-32-1262

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この記事を書いた人

兵庫県出身で、5歳の時に英国に移住し、2017年より京都を拠点に活動している。訪日外国人対象のツーリストガイド、大手インバウンド旅行会社の運営マネージャーなど、いろいろな観光サービスに従事し、すべての観光客が、本物の日本文化に触れ、特に美しい自然を体験してくれることを望む。