【徳島県】徳島県の食文化の特徴や種類と特産品

徳島県は東部は海に面し、西部は山に囲まれた地形で、海の幸、川の幸、山の幸といろいろな食材が生産されています。地域の特産品やそれらを使った特徴的な食文化をご紹介します。

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徳島県の食文化の特徴と特産品

徳島県を地理的視点でみると、紀伊水道と 瀬戸内海に面した海岸部、四国山脈と阿讃山地に取り囲まれた山間部にわけられます。
日常の食事や郷土料理には、海の幸がたくさん利用され、山間の地域では山の幸や山間を流れる川の魚介類を使うものが多いです。

徳島県といえば、年に1度、夏のお盆の時期に、全国各地から踊り手たちが集まって賑やかに開催される「阿波踊り」があります。もともとは、徳島藩の蜂須賀家が、1585年 (天正13年)の徳島城の落成を祝うために行った無礼講(ぶれいこう。身分や家柄に関係なく振舞える場のこと)が始まりとされています。平素は地道に活動する徳島藩の人々の、息抜きのために考えられたようです。
見方を変えれば、金銭感覚が鋭く、商売上手な気質と合理的な考えが反映されているともいえます。大勢の人が集まり、徳島の街で買い物や飲食をしたときに支払われた大金を、貯金せずに、それを元手に商売をし、さらに多くの収入を得ることを考えたという観点が阿波踊りにはあったようです。

とはいえ徳島県の人々の生活は、阿波踊りから想像するほど派手ではなく、質素だったとみられています。山地が多く、稲作に適した田畑が少ないので、野菜やソバの生産量が多くなります。

平家の落人伝説のある祖谷地方は、良質な阿波ソバが栽培され、古くからの郷土料理にソバを使った料理が多種みられます。 鶏肉・シイタケ・ ニンジン・ミツバネギとソバを煮込んだ汁物の「そば米雑炊」、ソバの実をご飯のように炊く「そばメシ」などがあります。「そば米」とは、ソバを塩ゆでした後に乾燥してから、殻を除いたものをさします。複数の味噌を混ぜた「調味汁」は、正月の行事食です。

祖谷そば

ソバはもちろん麺の「祖谷そば」としても食べられますが、かなり太くて短い、いわゆる「そば切り」の状態が一般的です。

 

伝統野菜・地野菜では、みどり(シロウリ)、阿波晩生1号(ダイコン)、ごうしゅいも(ジャガイモ)、なると金時、スダチ、その他 (なるとブランド野菜)などがあげられます。
水揚げされる魚介類は、シラス、タチウオ、サバ、メバチ、ハモ、アワビなどがあります。
食肉類では、阿波尾鳥(あわおどり)が知られています。
また、気候が温暖で山の多い地形なので、果樹栽培が盛んです。 スダチなど日本料理の風味づけに欠かせないかんきつ類の生産量が多いです。スダチの爽やかな酸味と香りは、焼魚や刺身、汁物や鍋物などにうってつけで、地元の人たちは他県の人が想定する用途よりはるかに多い、いろいろな料理にすだちをあわせます。

 

徳島県の特徴的な汁物

徳島県では汁物の食文化が特徴的です。

正月にふるまわれる「ふくさ汁」は、白味噌と赤味噌を混ぜた「ふくさ味噌」の汁で、ハマグリやわかめ、豆腐などを具材に入れます。
具だくさんの味噌汁「きゅうり素麺のみそ汁」、冬から春にかけて磯の岩に生えているアオサの醤油仕立ての澄まし汁「あおさ汁」 、豆腐を入れたイリコだしの澄まし汁「豆腐八杯」は、おいしくて8杯もおかわりするほどという意味から名前がつけられました。

徳島県_あおさ汁

あおさの風味が効いたシンプルな「あおさ汁」。

「石井ほうれん草汁」や、吉野川で養殖しているスジアオノリの「すじのり汁」、「れんこんみぞれ汁」などは、県内各地の特産品を利用したいろいろな種類の汁物が存在し、地産地消を目的に学校給食でも提供され、子どもたちに地域の食文化を伝える取り組みも行われています。

 

基本的な調味料にも歴史と独自色

徳島県内でも沿岸部の鳴門地域では、製塩の遺跡が残っており、5〜6世紀から塩づくりが行われていたと推測されています。かつては入浜式塩田(潮の大きな干満差を利用して海水を自動的に塩浜へ導入する方法)があり、製塩が盛んに行われていました。明治・大正時代は一大事業でしたが、製塩方法の変遷により、現在は製塩は行われていません。
ただし、塩が手に入りやすい土地柄であった歴史から、塩を活用した食文化が現代にも根付いています。

塩を活用した食文化として、日本食の基本的な調味料である醤油や味噌の製造があげられます。

醤油に関しては、県内で生産が盛んなスダチやユズなどの柑橘類を活用して、スダチ醤油やユズ醤油、ポン酢などが現代では風味豊かな特徴的な調味料として注目されています。

味噌に関しては、山間部で生産される雑穀を組み合わせ、粟・モチキビ・タカキビ・ヒエ・大豆・米・麦で仕込んだ「七穀味噌」が特徴的です。他にも伝統的な「御膳味噌」や、辛味が効いた「青唐辛子味噌」など、生産される味噌の種類が豊富です。
味噌を使った料理で「阿波の焼き味噌」があり、味噌そのものを酒の肴やご飯のお供として食べる文化もあります。

 

徳島県の特徴的な食文化の一部をご紹介しました。遍路道中では、地域ならではの食文化・料理に出会うことがあると思いますので、普段は食べないような食材や料理であっても、それも地域との交流というお遍路の楽しみのひとつとして、ぜひチャレンジしてみてください。

※徳島県の特徴的な食文化について、以下リンクの記事でもご紹介していますので、こちらもぜひご覧ください。

【徳島県の食文化】徳島県でカツといえばスパイスのきいた「フィッシュカツ」

【徳島県の食文化】一番摘みで濃いピリ甘辛味の徳島県民の定番「大野海苔」

 

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この記事を書いた人

建築・不動産・旅のテーマが得意なライター。社寺系ゼネコンに勤務経験があり、四国八十八ヶ所霊場の札所建築物の改修工事に携わったことがあります。仏教に興味があり、2022年には四国のお遍路巡礼もしました。ライターとは別名義で作家として小説も書いています。