【徳島県の食文化】一番摘みで濃いピリ甘辛味の徳島県民の定番「大野海苔」

徳島県で味付けのりといったら「大野海苔」が必ず出てくるというほど、生活に密着したローカルフードです。誰もが一度は見たことがあるであろう「卓上のり」のパッケージと、特徴的な濃いピリ甘辛味が徳島県民に長く愛されています。

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「大野海苔」とは

「大野海苔(おおののり)」とは、徳島県徳島市に本社がある大野海苔株式会社が製造販売する海苔のことをさします。
海苔のラインナップは焼きのりや手巻き寿司用などいくつかあるのですが、徳島県民に愛されていて認知度が高いのが、味付けのりを短冊状の食べやすいサイズにカットして、古風なラベルのPET容器に入れた「卓上のり」です。
徳島県民にとって海苔=大野海苔といっても過言ではないほどの定番商品です。

大野海苔_卓上のり

日の出印のラベルが印象的な大野海苔の「卓上のり」。

現在の経営者である大野正次社長の祖父が80年ほど前、海苔養殖と各種海藻を取り扱う問屋を始め、父の代で味付けのり・焼きのりの製造販売会社になりました。
1972年に開発・発売したのが「卓上のり」でした。「ご飯と一緒に食べて一番おいしい味付けのり」を目指し、他社の味付けのりと比較して、はっきりとした味付けになったといいます。その味付けに負けない強い風味の海苔を探し求め、たどりついたのが厳選された有明海産の一番摘み海苔だったそうで、現在でもこの海苔を使うことにこだわっているそうです。独自の製法により、海苔の風味と味わいが深まり、口当たりの良さが生まれます。

この卓上のりは、徳島県では冠婚葬祭の贈り物としても使われ、食べた後の空き容器も大事にし、食品ストッカーや小物入れ、子どもの工作材料などにも活用されることもあるそうです。
地域の生活と人生にこれほど密着した味付けのりを私はほかに知りません。

ちなみに、味付けに使わている醤油は、同じ徳島県内の鳴門市で江戸時代から醤油を製造している老舗「福寿醤油」のものです。古来の製法を守り、長期熟成した醤油が大野海苔の味の特徴を出すのに一役買っています。
※本サイトを運営している(株)四国遍路では、福寿醤油さんと連携して、醤油蔵の製造工程案内や醤油テイスティングのプログラムを実施していますので、プログラム実施の様子を撮影した以下動画もぜひご覧ください。

 

大野海苔のいろいろな食べ方

大野海苔の味付けのりの品質と味わいは全国的にも高く評価されています。特に、ほどよい塩味と香りが特徴的で、濃いピリ甘辛味と表現できます。お茶碗のご飯をくるんで食べたり、おにぎりに合わせるようなど定番の食べ方はもちろん絶品です。
美しい緑色の色調も独特で、食卓の彩りを豊かにしてくれます。

大野社長によると「トーストにのせて、バターとともに焼くとおいしい」というお客さんからの声をよく聞くそうです。大野海苔はパリッと噛みきれる食感も特徴なので、食パンとも相性が良いみたいです。
また、レタスに味付けのりをもんで乗せ、イタリアン系のドレッシングをかけてサラダにするのも人気だそうです。
そのままの味付けのりをお酒のおつまみにしている人もいるとか。

大野海苔_味付のりぱりぱり120

卓上のりよりも小さなサイズにカットされて子どもでも食べやすく、チャック付きの保存袋でパッケージされた味付のりもあります。

 

徳島県の日常食でお土産にもぴったり

大野海苔を買いたい場合、徳島県内のローカルスーパーマーケットであれば大体取り扱いがあります。あるローカルスーパーマーケットでは、クリスマスに卓上のりで約5mの高さのクリスマスツリーを作って展示したこともあり、徳島県民に大人気であることがうかがえます。
徳島県外でも全国チェーンのスーパーマーケットなどでも販売されていて、徳島県外の人でも一度は目にしたことがあるのではないでしょうか。

また、卓上のりはコンパクトなサイズで軽く、常温保存で日持ちもするので、徳島県観光のお土産にもぴったりです。主要なターミナルのお土産もの売り場には必ずと言ってよいほどラインナップされているほど、県外の人にもPRしたい地域特産品としての地位を確立しています。

 

大野海苔の特に味付けのりは、その独特な濃いピリ甘辛味で徳島県の県民食ともいえるローカルフードです。その味を守るために、ベースになる海苔の品質にこだわり、味付けには県内の老舗醤油蔵が製造する醤油を使うなど、たゆまぬ努力が徳島県民に愛される理由なのだと思います。

※徳島県民のソウルフードに関して、以下リンクの記事でもご紹介していますので、こちらもぜひご覧ください。

【徳島県の食文化】徳島県でカツといえばスパイスのきいた「フィッシュカツ」

 

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この記事を書いた人

建築・不動産・旅のテーマが得意なライター。社寺系ゼネコンに勤務経験があり、四国八十八ヶ所霊場の札所建築物の改修工事に携わったことがあります。仏教に興味があり、2022年には四国のお遍路巡礼もしました。ライターとは別名義で作家として小説も書いています。