紙が貴重だった時代、人々は何を用いて文章の交換を行っていたのでしょうか。そのアイテムの一つとして、「多羅葉樹」の葉があります。
札所を回ることを「打つ」という理由
四国八十八ヶ所を回ることを 「打つ」 と言います。
順打ち、逆打ち、打ち始め…
これはかつて紙が高価だった時代、納札に用いられていたのは木札だった。
それらに名前や国元、願意(がんい / ねがいごと)を書き、寺の柱に釘で打ち付けていたことから、お参りすることを 「打つ」 と表現するようになった。
※ 巡拝者の少ない時代の話で、今それを行うと 器物破損で逮捕されます…
他に紙に代わるものとしては…
葉書の語源になった植物
多羅葉、タラヨウ
楕円形のしっかりした葉を持つ常緑樹。後述の経緯から、寺院の境内でよく見られる。
昔昔の日本では、この葉の裏に文字を書くことで文章を伝えたそうです。
勘の良い方は気付いたでしょうか。
葉に(字を)書いた
↓
葉書
なのです。
実際に葉に字を書くとどのようになるのか
葉の裏面を傷つけるように字や絵を書くと このように書いた跡が残ります。石や木の枝、無ければ爪でも構いません。
このお寺さんでは、参拝者たちの願い事を聞き受ける役割になっていました。
タラヨウの葉裏に書かれた字は残るので、寺社では経文を書き写したり、炙ることで吉凶を確かめるなど重宝された。そのため積極的に植樹が行われ、現在タラヨウが多く見られる場所は寺院となっている。
また、ハガキの語源になった説から 郵便局の木と定められており、日本の郵便事業の中枢・東京中央郵便局の敷地内などにも植樹されている。
「葉書」 が仏教・遍路由来の単語というわけではありませんが、寺院でよく見られることから紹介させて頂きました。参拝で行かれた先でタラヨウの木を見かけた時は、許される範囲で "葉書き" を体験してみてください。