【市場食堂】鰹の水揚げ四国一の愛南町・深浦港にある食堂の「びやびやかつお」

鰹の水揚げ四国一は高知県ではなく愛媛県で、その多くが愛南町の深浦港に水揚げされます。漁港にある「市場食堂」で、当地ならではの「びやびやかつお」が提供されています。

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深浦港_市場食堂

愛媛県愛南町南部にある深浦港の市場食堂を訪れました。

 

鰹の水揚げ四国一の漁港「深浦港」にある市場食堂

昨今「市場の食堂」「漁港の食堂」を前面に出して飲食提供を行う商業施設がありますが、今回私が訪れた40番札所観自在寺がある愛媛県愛南町の深浦港にあるのは本当の市場食堂。市場というのも我々庶民が食材を買い求める「いちば」ではなく、漁師さんが獲ってきた鮮魚を仲買人らが買う「しじょう」の方の意味です。店構えからも港湾関係者の食事を担う福利厚生施設のような印象を受けました。

※店名の読みは「いちばしょくどう」のようです

深浦港_鰹壁画

深浦港の港湾施設の壁面に描かれているのは鰹で、愛南町の町魚に選ばれています。

年によって差異はありますが、四国において鰹の水揚げが最も多い漁港は愛南町の深浦港で、町の魚にも選ばれています。と見聞きすると9割以上の方々が「え!?」となります。「愛南町?」「愛媛県??」「高知県じゃないの??」と疑問を持たれます。
それもそのはず。四国八十八ヶ所霊場まいりで高知県を回っていると鰹がどこにでも売られているのを見ることができますし、宿で夕食をお願いすると高確率で鰹が提供されます。対して愛媛県で食事に魚が出てくるとすれば、鯛や鰤などが多いです。

 

びやびやかつお

深浦港_市場食堂_かつおの呼び名豆知識

厳格な基準を満たす生の鰹だけが「びやびやかつお」を名乗ることができます。

鰹漁師の人数は愛媛県よりも高知県のほうが多く、船団の規模も違います。ゆえに遠方まで鰹を獲りに行くことができます。
そこが要点で、高知県の漁師だからといって高知県の漁港に水揚げするとは限りません。高知県の漁港に水揚げをしても喫食するための人口が少ないですし、そこから県外へ運ぶとなると離れた高知県からでは運び賃がたくさん必要です。
例えば、鰹の水揚げは静岡県の焼津港が日本一になることが多いのですが、そちらへ水揚げすると東京にしろ名古屋にしろ人口が多い大消費地まで距離が近いので、売る方・買う方両者にとって有利です。そのような事情があり、例え高知県の漁師が大海原へ出て鰹を獲っていても、県外の港で水揚げされればその土地のカウントになるため、高知県の漁港の成績にならないようです。

そうすると愛南町の深浦港の強みは何?となりますが、ここは港を出てから鰹の漁場までが近いため、漁を行ったのと同じ日に港へ戻ってくることができて、迅速な取引を経て鰹が獲れた日のうちに消費者に届けることが可能な点があげられます。
深浦港に水揚げされる鰹は、「日戻りかつお」「びやびやかつお」の名称でブランド化されています。びやびやとは当地の方言で「とても新鮮」という意味です。

 

市場食堂のまかない丼

深浦港_市場食堂_メニュー

順番待ち無しは作戦通りなのですが、肝心のびやびやかつおが…

私が深浦港の市場食堂を訪れたのは平日の午前中で、朝昼兼用食目的で来店したので順番待ちはありませんでした。週末や連休には数時間待ちという話も耳にしたので、来店する時間帯には注意が必要です。

そしてこの日は天候が良くない日で漁に出ることができなかったようで、当日水揚げされた鰹は無いようでした。びやびやかつおを食べるにはこれが一番の難題です。需要があっても深浦港に日帰りすることができる漁場に鰹の群れがいないといけませんし、それが平日であったり需給のバランスが合わないと獲りに行けないでしょうし、そこに天候や海況の条件が付きます。訪れる日に入荷しているかどうかは強運が必要であることがわかりました。

深浦港_市場食堂_メニュー_まかない丼

限定が食べれるならそれもまた価値ありです。

そういうことだったので今回はびやびやかつおは断念して、代わりに限定のまかない丼にしました。
個人的にそこまで刺身推しではないんです。というと負け惜しみに聞こえてしまうかもしれませんが、上のメニューの中で鯛のごまダレ丼が一番気になります。ちょっと味付けした海鮮が好みです。
愛南町へはまた訪ねて来ることがあるでしょうから、日戻りびやびやかつおはその時を楽しみにすることにします。

深浦港_市場食堂_まかない丼

いろいろな魚がのった限定数量のまかない丼です。

深浦港_市場食堂_鰹マヨ

ツナマヨならぬ鰹マヨが美味しかったです。

各テーブルに置かれていた鰹マヨがとても美味しかったです。手作りのツナマヨのような感じで、ツナは鮪のことなのでこれは違いますが、仮に港湾関係者で毎日ここへ来ることができるような環境であれば、味噌汁と白ごはんだけで幸せになれると思いました。

 

遍路グルメには難易度高し

深浦港_漁港施設

愛媛県有数の水揚げ量を誇る深浦港の防波堤の左奥にちょこっと顔を出している陸地は、高知県宿毛市の沖ノ島です。

深浦港は遍路道沿いにはなく、歩き遍路で立ち寄るのに便利な立地ではありません。自動車遍路であれば問題なく来ることができますが、愛南町という私の自宅からは遠く離れた土地で、しかも昼時にタイミング良くこの場所を通りがかることがこれまではなく、存在は知っていたものの来ることができずにいました。

立地やタイミングなどの諸事情で、遍路道中で立ち寄るには難易度が高く、特産品のびやびやかつおを食べるためには前述の強運が必要ですが、旅の道中で日戻りの鰹にぜひトライしてみていただきたいです。

 

店舗名 市場食堂(いちばしょくどう)
住所 愛媛県南宇和郡愛南町鯆越166-4(深浦漁協敷地内)
電話 0895-73-2556
営業時間 平日:9:30~15:00
土日祝日:10:00~15:00
月曜定休 正月・盆・地方祭・休市日など臨時休業あり
ホームページ https://jf-ainan.or.jp/publics/index/175/detail=1/b_id=506/r_id=69/

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この記事を書いた人

四国遍路案内人・先達。四国八十八ヶ所結願50回、うち歩き遍路15回。四国六番安楽寺出家得度。四国八十八ヶ所霊場会公認先達。 高松市一宮町で「だんらん旅人宿そらうみ(http://www.sanuki-soraumi.jp/)」を運営。