【遍路参拝作法その10】納札の書き方

お遍路さんの必需品のひとつに巡拝時の名刺ともいわれる「納札」があります。自身で記載する内容がありますので、詳細に解説します。1日に複数の札所を参拝こともある四国八十八ヶ所霊場巡礼では事前に記入しておくのもよいでしょう。

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参拝作法 納札

 

—– 記事に登場する主な地名・単語

納札(おさめふだ)
数え年(かぞえどし)
宗門人別改帳(しゅうもんにんべつあらためちょう)

 

納札の書き方

数字の部分は 漢数字を用いるとなお良しです。

■ 年 ※ 元号
■ 月日
■ 住所 ※ ●●県、もしくは市町村まで
■ 氏名
■ 年齢 ※ 数え年
■ 願い事 ※ 裏に記入

札所寺院に到着したらスムーズに参拝を行うことができるように、納札に必要事項を予め記入しておきましょう。
自分一人での参拝であれば良いですが、団体など複数人での参拝の場合、現地で準備していると同行の人たちを待たせてしまいます。
また 屋外では、その日が雨だったり寒さで手がかじかんでペンを握るのに困る状況も考えられます。仏さま・お大師さまに納めるものなので、なるべくきれいな字で書くことを心掛けることが肝心です。

 

数え年の考え方、カウントの仕方

年齢の 「数え年」 という数え方。

その年の中で、
誕生日が来ていなければ 実年齢にプラス2歳。
誕生日が過ぎていれば 実年齢にプラス1歳。

それがあなたの数え年における年齢です。

仏教の世界においては、母親の胎内に命が宿った時が「0歳」であり、その時から生命のカウントが始まります。すなわち出産時には約1年経過しているとみなして 「一歳」 です。
また、今の時代で年齢が加算されるのはそれぞれが誕生日を迎えた時ですが、数え年の世界では 1月1日に全員が年齢を加算します。これはおそらく江戸時代の戸籍制度である宗門人別改帳によるもの。全員が一斉に加齢した方が整理し易いことから。
冒頭の 「その年の中で誕生日が来ていなければ 実年齢にプラス2歳」 になるのは、そのためです。
極端な話、12月31日に生まれた赤ちゃんはまず一歳、翌日 1月1日になると二歳、生後二日しか経っていないのに二歳です。

由来はともかく、参拝の際の年齢申告は数え年で行うようにしましょう。

 

納札にはお願い事を

お願い事を"願意(がんい)" とも呼びます。
それを記入するにあたり、氏名等を書く表面は空きスペースが少ないですので、納札裏の白紙部分に記入すれば良いと思います。

お願い事は、一回の参拝(読経)につき一種類にしましょう。二つも三つも、自分のもあの人のも… 欲張りは参拝の原理から逸脱します。

 

お接待の返礼として渡す納札の注意点

納札を使用する場面は、本堂・大師堂で納める一ヶ寺あたり二枚の他、お接待を施してくれた方にも納札をお渡しすることが、四国遍路のマナーです。

その際、
お接待の返礼として渡す納札に願い事を書いてはいけません。

寺院に納める納札は仏さまかお大師さまへ。
お接待を施して下さるのは人間。

仏さま・お大師さまであれば、我々の願い事を叶えてくれる大きな力を持っているのでしょうが、一般の人間にお願い事をするのは大変恐縮であり、場合によっては失礼にあたります。
お接待を受けた時に渡す納札は、願い事は書かずに渡すようにしましょう。

 

※ 参拝の手順や解釈について、一般的な見解に基づき紹介しています。他にも様々な方法や解釈があることをご留意ください。

 

【遍路参拝作法その10】納札の書き方に関しては、以下の動画もご参考ください。

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※遍路参拝作法の次の手順に関しては、以下リンクの記事に続きます。

【遍路参拝作法その11】遍路装束の意味

※すべての遍路参拝作法のまとめと動画出演者の情報は、以下リンクの記事に掲載しています。

遍路参拝作法まとめ

 

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この記事を書いた人

四国遍路案内人・先達。四国八十八ヶ所結願50回、うち歩き遍路15回。四国六番安楽寺出家得度。四国八十八ヶ所霊場会公認先達。 高松市一宮町で「だんらん旅人宿そらうみ(http://www.sanuki-soraumi.jp/)」を運営。