遍路参拝で本堂・大師堂で勤行する前の準備は主に「灯明」「線香」「納札」「賽銭」がありますが、納札と賽銭の作法と意味について解説します。
—– 記事に登場する主な地名・単語
納札(おさめふだ)
賽銭(さいせん)
納札の意味
"おさめふだ" と読みます。
巡拝者の名刺に当たるもの。
紙製で「奉納 四国八十八ヶ所巡拝」など、字があらかじめ印刷されている物に、巡拝者自身の氏名等を記入して、寺院に置かれている所定の箱に収める。
しかしながら紙を用いるようになった歴史は浅く、近世まで木製のものが用いられてきた。木簡型の木札に所定の事項を記入し、寺院の堂宇や柱に釘を用いて打ち付ける。そのことから 四国遍路を回ることを "打つ" と呼ぶようになった(順打ち、逆打ちなど)。
現在は柱に諸札を打ち付ける行為はもちろん、堂宇などに納札・千社札等を貼る行為は固く禁じられている。
賽銭の意味
"さいせん" と読みます。
「お」を付けて、「お賽銭(おさいせん)」と呼ばれる方が一般的。
"賽" には 「神から福を受けた感謝を祭る」 の意味がある。
金銭として奉納するようになった歴史は、貨幣経済が浸透した中世以降であり、元々は海の幸や山の幸、米などが納められていた。
納札と賽銭、準備とあれこれ
お賽銭については、額に決まりはありません。
自身の感謝の気持ちやお願い事が実現して欲しい度合いに応じて、額を決めれば良いと思います。
また、寺社のトイレを使用した場合などは、普段より少し多目にお賽銭を入れるよう心掛けましょう。
初詣などでお賽銭を投げ入れる姿が見られます。
神社においては、勢いよく投げることで景気を付ける、「投げる=祓う」という考え方が存在します。
しかしながら、寺院では投げ銭はあまり好まれません。賽銭箱に近付いて、そっと静かに納めるようにしましょう。
納札は本堂・大師堂前にそれぞれ所定の納札箱が設置されているので、そちらへ納めるようにします。
その際、近くに置かれている写経箱と間違えないようにしましょう。
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※ 参拝の手順や解釈について、一般的な見解に基づき紹介しています。他にも様々な方法や解釈があることをご留意ください。
【遍路参拝作法その5】納札・賽銭の作法に関しては、以下の動画もご参考ください。
※遍路参拝作法の次の手順に関しては、以下リンクの記事に続きます。
※すべての遍路参拝作法のまとめと動画出演者の情報は、以下リンクの記事に掲載しています。
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