【44番札所大寶寺】雨天の中にのぞいた太陽に感じた自然の力

ミニベロでの四国八十八ヶ所霊場巡りがちょうど半分が終わった44番札所大寶寺にて、深いご縁と自然の不思議な力を感じることになった。この日は雨の中での自転車走行が続いたが、大寶寺参拝時にのぞいた太陽は忘れられない思い出。

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再会

ミニベロ遍路 大寶寺参道

参道は立派な杉の木が並んでいる

44番札所大寶寺に到着した時には、雨の中での登り坂走行による疲れを随分感じていた。途中激しくもなった雨で、ウェアの隙間から入る水で服が濡れていて、山奥の空気は骨までと思えるほど体を冷やしていた。とても寒くて、参拝を終えたらとにかく早く宿に着いて冷えた体をゆっくりとお風呂で温めたい気持ちばかりが先に立っていた。
大寶寺では駐車場に自転車を停めることができるが、その後徒歩にてまた坂道を登ることになる。その方法もひとつだが、もうひとつのルートとしてお遍路道の脇に自転車を停め、歩き遍路用小道(お遍路道)を歩いていくのが一番おすすめだ。山門までの参道は狭く、苔むした石や雨に濡れた木の根が滑りやすい。

寒さに震えながらそんな道を一歩一歩登っている時、誰かが私の名前を呼んだ。驚いて声のした方向を見ると、前日に休憩所で一緒にみかんを食べた歩きお遍路さんが手を振っていた。再会にとても驚いたが、自転車で旅している私より先にお寺に着いてたということはよほど朝早く出発したのだろう。いずれにしても、彼のとても早いペースを想像すると驚きが倍増した。同じ巡礼をしているとはいえ、道中で出会った人と再会することは何かを意味するのではないかと感じた。

 

力をくれるお寺

ミニベロ遍路 大寶寺山門

山門にはお遍路さんの足を守ってくれる巨大な草鞋が掲げられている。

巨大な草鞋が両サイドに掲げられていているインパクトの強い山門が迎えてくれた。この草鞋は遍路を達成するために必要な旅の安全とそれを支える足に力をくれるそうだ。私たちにとってとてもありがたい山門を通り、本堂まで歩いた。
大寶寺は山奥に佇むお寺で、その境内には立派な杉の木がたくさん並んでいる。シトシトと朝からずっと降り続く雨は山奥に霧を発生させ、歴史をまとう境内の雰囲気とそれを包む自然の中で、言葉では言い表せない感覚を覚えた。
このお寺に限ることではないが、四国遍路で時折出会う、山奥に佇む自然と融合したようなお寺では、静かで力強いパワーを感じることができる。

ミニベロ遍路 大寶寺の空

木々の隙間に突然青空が見えた。

 

忘れられない瞬間

参拝を終え、宿へ向かうことにした。朝から雨に降られながらようやくたどり着いたお寺での参拝を終え山門を出ると、突然雨があがり、木々の隙間から青空が現れ始めた。そしてどんどんと雲が消えてゆき、今日一日の頑張りを褒めてくれているような現象に心が動いた。
そのまま宿へ向けて走行を始めると、17時を知らせる集落のサイレンが聞こえてきた。後ろを振りかえると、背後に連なる峰々の向こうから太陽の光が挿し、まだ少し残っている雲を照らし、空を美しく輝かせていた。目の前に広がる風景に今日一日のストーリーが重なり、その瞬間、自然界のパワーを強く感じた。

今、たまたまお遍路をまわっていることは間違いなく何かの運命なのだと思った。雨、山、川、お寺、太陽の位置、そしてその時その時間、私はその場所にいた。そしてそれは何かの理由によってそうなったとしか思えなかった。
雨の中、自転車で山を登り、前日に会ったお遍路さんとちょうど四国八十八ヶ所霊場のちょうど半分の地点である44番札所にて偶然に再会し、参拝を終えた時に雨があがり空が晴れた。たくさんのことが頭を巡り、雨で濡れた服と寒さのことをすっかり忘れ、宿へ続く道を進んだ。

ミニベロ遍路 大寶寺で出会った景色

雨が上り太陽が山の裏から空を輝かせた。

 

【44番札所】  菅生山 大覚院 大寶寺(すごうざん だいかくいん だいほうじ)
宗派: 真言宗豊山派
本尊: 十一面観世音菩薩
真言: おん まか きゃろにきゃ そわか
開基: 明神右京・隼人
住所: 愛媛県上浮穴郡久万高原町菅生1173
電話: 0892-21-0044

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この記事を書いた人

兵庫県出身で、5歳の時に英国に移住し、2017年より京都を拠点に活動している。訪日外国人対象のツーリストガイド、大手インバウンド旅行会社の運営マネージャーなど、いろいろな観光サービスに従事し、すべての観光客が、本物の日本文化に触れ、特に美しい自然を体験してくれることを望む。