【徳島県牟岐町】はてしなく長い海岸線には江戸時代の休憩所「小松大師」と現代の休憩所

別格4番札所「鯖大師本坊」ははてしなく続く徳島東南部の海岸線に位置しています。
鯖大師本坊近くの牟岐町エリアには、歩き遍路さんにやさしい休憩所が設置されています。

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江戸時代の休憩所「小松大師」

四国八十八ヶ所巡礼の徳島県最後の札所である23番札所薬王寺を出発してからは、高知県の室戸岬を目指して、はてしなく続く海岸線を進んでいきます。
この途中に別格4番札所鯖大師本坊があるのですが、このお寺の手前の「牟岐町(むぎちょう)」には、長い旅路を歩むお遍路さんにやさしい休憩所がいくつかあります。

まず、JR牟岐線「辺川(へがわ)駅」のすぐ近くにある「小松大師(こまつだいし)」をご紹介します。

小松大師 看板

国道55号沿いに「小松大師 すぐこの上」の看板が出ていますのですぐにわかると思います。

小松大師 お堂

小さな丘の上にのぼると、小さなお堂があり、これが小松大師です。

小松大師

お堂は開けられるようになっていて、お大師さま石像を間近に拝むことができます。

小松大師とよばれているのは、このあたりが小松という地名であったことに由来しています。
この地域の地形は、まわりを山に囲まれ、山から流れる複数の川が合流する谷地になっていて、山を拝み清流が不浄を洗い流す天然の聖地として重要視されてきた歴史があるようです。

この地にお大師さまがまつられたのには、以下のエピソードがあります。
大阪難波に住む石工のところに一人の武士がやって来て、弘法大師座像を注文したそうです。
石工は彫作に努め、尊像が完成しましたが、武士は約束の期日がきてもいっこうに姿を現しません。
数か月が過ぎたある夜、石工の夢に弘法大師が現れて「吾に誓願あれば汝の刻むところの石像を阿州海部郡小松の里に送るべし」と告げられ、これが数夜続いたので、不思議に思い調べてみると、阿州海部郡に小松という里があるとわかり、商船に託して、この地に安置したそうです。
その後、江戸時代に阿波藩主がお國回りをする際には、必ずこの地に立ち寄り参拝すると同時に、休憩所としても使われていたとのこと。

ということで、この小松大師は昔から霊地として知られ、江戸時代から続く由緒正しき休憩所でもあるのです。
現在は休憩所として設備が充実しているわけではないですが、ぜひ立ち寄っていきたいスポットです。

 

歩き遍路さんにやさしい現代の休憩所

小松大師から南に進んでいくと牟岐町市街地に入り、そこを通り過ぎた先には、現代の休憩所が設置されています。

ひとつめは、「四国八十八ヶ所ヘンロ小屋プロジェクト」で設置された「ヘンロ小屋第50号牟岐」です。
※四国八十八ヶ所ヘンロ小屋プロジェクトを支援する会 ホームページ: http://www.geocities.jp/henrogoya/

ヘンロ小屋第50号牟岐 牟岐トンネル

牟岐トンネルの手前に設置されています。

ヘンロ小屋第50号牟岐

建築家の歌一洋さん設計の遍路小屋は、それぞれの場所で特徴があって楽しく美しいものです。

このヘンロ小屋第50号牟岐のデザインは、海底をイメージし、牟岐町特産の千年サンゴを模して、海藻を柱に見立て、上部から海の青い光が入ってくるように設計されているそうです。

ヘンロ小屋第50号牟岐 内部

内部はたしかに光の入り方が独特の美しさをつくりだしていました。

元々は「お接待の会牟岐」が、2001年から牟岐警察署敷地内のテントでお接待を行っていましたが、公用地を避けてこの地で活動していたところに遍路小屋が設置され、今でも定期的に地元の方がお接待をしてくださっているたいへんありがたい休憩所なのです。

ヘンロ小屋第50号牟岐 お接待スケジュール

小屋の中には道案内とお接待スケジュールも掲示されていました。

【「ヘンロ小屋第50号牟岐」 地図】

 

また、牟岐トンネルをくぐって、さらに進んでいくと、登り坂の途中に私設と思われる休憩所もあります。

牟岐町 休憩所

国道55号をビュンビュン車が走る横に瓦葺の立派な休憩所があります。

牟岐町 休憩所 外観

小屋内にはお接待の品らしきものも置いてくださっていました。

【「牟岐遍路休憩所」 地図】

このように、牟岐町エリアには休憩所がいくつも設置されていて、地元の方々のお接待文化も根づいているお遍路さんにとってはたいへんありがたい地域なのです。

 

はてしなく長い海岸線を進む道のりは苦しいものではありますが、このような休憩所をお借りしながら、地元の方々にも感謝して歩んでいきたいものです。
休憩所の歴史や成り立ちからも遍路文化を体感できます。

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この記事を書いた人

四国遍路情報サイト「四国遍路」を運営する株式会社四国遍路(https://shikokuhenro.co.jp/)の代表取締役。四国遍路の文化をより良い形で引き継いでいくために、四国遍路に新しい付加価値を生み出すべく日々奮闘中。